ikedayo! blog

元フリーライターの池 紀彦が気になる何かのお話を書く場所

久々のくせにいきなり発表会の模様レポートとか

久々のブログ記事は割と真面目な奴。

 

フランスのスタートアップ企業、サンパートナーテクノロジーズが5月18日に開催した国内向け発表会に参加してきたので雑感をアップロード。1か月前の話で恐縮ですが、備忘録程度の物なのでご容赦を。

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サンパートナーテクノロジーズは2008年に設立したフランスのスタートアップ企業。従業員は現在60名で150以上の特許を取得している。同社の製品はガラス材ほか様々な素材にソーラーパネルの要素を組み込む加工技術"WYSIPS Technologies"だ。このソーラーパネルを組み込んだ素材を使うことで、太陽光充電を可能とするのが特徴だ。ソーラーパネルを組み込むサイズや素材に応じて、5種類のブランドを展開する。

 

具体的な製品の一例としては、開発中ではあるが、京セラの対応スマートフォンが今年のMWCにて話題になったことは記憶に新しい。

http://japanese.engadget.com/2016/02/26/3-1-mwc-2016/
『実用化にメド』京セラが太陽光で発電するスマホ、2017年頃までの商品化目指す。実機も展示:MWC 2016(Engadget Japanese)

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また、Vector社製スマートウォッチに組み込むことで、外観はそのままに駆動時間を3~5割向上したという実例もある。他の製品についても、大きな物ではガラス板から、小さいものではGPSトラッカーのようなかなり小型のデバイスにまで搭載可能なようだ。サンプルのGPSトラッカーについては、ソーラー充電のみで、全ての電力が賄えるという優れものだ。ガラス板については透明度が下がるほど蓄電性能は上がり、逆に透明度が上がれば蓄電性能は下がるため、オフィスビルなど、透明度の低い方が適した環境に投入すればかなりの蓄電効率が期待できそうだ。他にも可視光通信の次世代技術「Li-Fi」とも相性がよいとのことで、通信用モジュールをガラス窓に組み込むなどの製品も実現が可能としている。

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実際の加工作業については、自社には30,000m2分のガラス製品用の製造ラインとコンシューマ製品向けの小型製品用ラインの2拠点を持つ。だが、これだとスマートフォン100万台などの規模になってくると、本社の工場では需要を賄えない。そのため、日本や米国など海外でのビジネスについては工場などと提携し、加工技術のライセンス販売で展開する予定としており、海外展開についてはほぼ全てを自社で"行わない"という割り切りがスタートアップらしい徹底ぶりだ。

 

同社社長兼CEOリュドヴィク・デブロア氏によると、汎用化したスマートフォン、スマートウォッチなど、各社が持つ製品に対する"付加価値"として同社の技術を組み込んだ製品を展開したいとする。一番力を入れていきたいのは、窓ガラス関連の製品だが、今後は日本でも多種多様な各社と連携し、進出していきたいと話す。特に海洋業界や建築業界とも関わっていきたいそう。今後の国内展開が期待できそうだし、エコ大好きな日本では非常に盛り上がりそうな技術ではある。

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同社のポイントは何といってもガラス材にソーラーパネルを挟み込むという独創的な加工技術"WYSIPS Technologies"のみを販売している点だ。自社で何らかの製品を開発、生産して販売するタイプの会社ではなく、BtoBでこの加工技術のみを提供する。ソーラーパネルやガラス材など、さらにはその下で動くデバイスも含めて、基本的にその全てが提供先に依存する。そのため、コスパの話をしたくても、充電性能は"持ち込まれたソーラーパネルに依存する"し、価格についても"各企業が用意したソーラーパネルなどの価格に依存する"ため、具体的な数値が出しにくく、技術のすごさが伝わりにくいのが難点といえば難点だ。なお、某新聞社の記者もそこがぼやけるため、記事が書きにくいと愚痴っていたのは余談。

 

なお、大規模な製品としては2017年にVision Systemsと協業し、飛行機用の自家発電ガラスを発売予定。またVINCIと協業し、ガラス製品を2016年9月に発表を予定している。

 

一般ユーザーが手に入れられる製品としては、前述のVector社製のスマートウォッチについては最終的に駆動時間を2倍にまで引き上げられるように開発を継続しており、年内に投入したい考え。また、京セラ製スマートフォンは2017年発売予定。

 

日本は基本高付加価値モデルが売れやすい傾向があるので、充電補助機能が付いたスマホというのは割と需要がありそうなので、京セラ以外もガンガン提携して搭載製品を出してほしいものです。という無難なまとめ。