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元フリーライターの池 紀彦が気になる何かのお話を書く場所

電子書籍のお話(阿佐ヶ谷ロフトのイベント行きそびれ記念)

もうちょい前に書こうと思ってたんですが、色々記憶が欠けてしまったので何も書けないわ(笑)

と思ったんだけど、3月6日に阿佐ヶ谷ロフトで開催されたイベントのことをすっかり忘れていて、顔が出せなかったのでちょっと悔しかったので、記憶を思い起こして書いて見ることにする。

 

本当はネタ用にサラリーマン金太郎の出版社社長編のみ電書購入して、そこからネタ画像拾って貼ろうと思ってたんだよなぁ(注:本当にやったら著作権法違反です)。

とは言え、これは単にネタ画像を貼りたいわけではなく、このお話の中で指摘していた電子書籍に足らない物が正に自分の考えと合致したからなのであります、という余談。

 

今回はオーディオと書籍でそれぞれアナログ、電子化、プレーヤー、配信ストアなどを比較しつつ、特徴を検証すると分かりやすいかなと思うので、これでちょっと書いてみます。

 

ではオーディオから特徴を上げてみるとします。

 

・まず購入したアナログCDを自分で電子化する、いわゆる自炊が容易に行えること。自分で買ってきたCDからPCなどを使ってデータに変換することが比較的容易に行えます。また、どんなに変換してもCDはなくなりません。

・次にそのデータを再生するオーディオプレーヤーはそこそこ高額だということ。最近はケータイに持ってかれて市場もなくなりかかってますが、プレーヤー機器は基本有料でしたし、今後も無料で配るということはないでしょう。

音楽配信の価格はアルバム、シングルともにCDと比べると割安です。アルバムは2,000円くらい?シングルに至ってはカップリング不要なら1曲単価で済むので高くても300円くらい?さらに言うと楽曲データをCDにすることも可能なので、物理メディアでのバックアップが行える作りになっているのも魅力。

 

こうした各特徴を見ていると、プレーヤーを買う必要があるため、敷居は高いですが、一度プレーヤー本体を買ってしまえば、あとはCDとデータ化する環境が整っていれば、基本ソレ以上のお金はかからないということになります。音楽配信で楽曲を購入した場合でも、CD化することで物理メディアに残せるので、配信元がサービスを終了してしまった場合でも手元にデータが残せます。

 

こうした上記特徴に対して電子書籍を当てはめてみると、これを考えていた当時は色々おかしな点が出ていました。そうkoboとkindleがやってくるまでは…ということで、2社が日本にやってくる前のお話をしておこうと思います(笑)。てか2社が来て改善された内容は『』でくくりますか。

 

・まず購入した書籍を電子化する、いわゆる自炊は容易ではありません。書籍の裁断からはじまり、その紙片をスキャナで取り込み。スキャナは1枚1枚取り込むのは困難なので、シートフィードスキャナを使用するのが一般的ですが、これ専用で1台数万かかります。コストと労力がハンパないんですわ。

・次にそのデータを再生する端末が有料であるということ。タブレット端末やスマホでも読めますが、基本は有料です。『楽天のkoboは同社会員が特定条件を満たすことで、無料配布してもらえる場合もあるようです』。

電子書籍の価格は基本、紙と同額です。『ただし、Amazon登場以来、各電子書籍ストアでは紙の本と比べて割安になるものも出てくるようになりました。』ただし、電子書籍データから紙への復元は非常に手間ですし、なかなか難しいです。と言うよりほぼ不可能。

 

国内メーカー各社から電子書籍端末が登場した頃は、端末は割高、書籍の値段も普通ということで、正直、このままいったら絶対普及なんかしないよなぁと思ってました。特に端末の割高感がハンパなかったのは大きいです。そりゃ趣味の人しか買わないだろうよ、と思ってました。

 

その頃描かれたサラリーマン金太郎の劇中で、出版社社長になった金ちゃんは「電子書籍端末はタダでばらまけ!収入は購入してもらうデータで補うんだ!」と熱く語るわけです。まぁマンガの言うことですから、そんなに都合よくいかないことも分かります。分かりますけど、一理あるな、とも思いました。

 

つまり上記のようなオーディオプレーヤーモデルではなく、ケータイを普及したビジネスモデルを採用すれば普及は見込めると考えたわけです。端末はタダで配る。書籍は自炊が困難な物なので、端末を貰って、もしそれが便利だったらそりゃ電子書籍を購入する方向に向かうわけです。うまくポジティブスパイラルに乗れば一気に普及した可能性も高かったと思います。

 

ところが当時はどこもそういう施策をやろうとしていなかったので、やっぱ無理なんだよ!と思っていたのですが、こうした状況を打破し始めたのが2012年よりAmazonが提供開始したKindleという名の黒船と、それに対抗しようと新たに立ち上がった楽天koboです。

 

製品や会社の体質には色々難癖がついたkoboですが、会員向けに端末をタダで配るというアイデアは正に前述の方法論で、非常に素晴らしいと思いました。惜しむらくは会員相手に郵送で送るスタイルなので、楽天の会員というハードルを越える必要があったこと。街でタダ配りしたら、そして端末の初期設定が誰でも簡単にできるものだったらちょっとシェアとか変わってたかも。

 

AmazonのKindle登場以降は電子書籍の値下げが起こりました。もちろん1巻だけだったり、期間限定だったりのセールではありますが、そもそも書籍のセールって存在していなかったわけで、それを始めるきっかけとなったAmazon Kindleの影響力はやっぱすげーなと素直に思いました。実際、何冊か買ってしまいましたしね(笑)

 

こうした新たな動きが見えてきたことで、電子書籍の未来が少し拓けてきたかも?と最近は少しだけ思えるようになりました。

 

ということで、電子書籍が越えるべき、次なる課題は以下の感じですかねぇ。これ越えないと以降は盛り下がるばっかりではないかと。

・端末の性能向上

やっぱ現状のE-inkは厳しい。ガッツリ見たことはないですが、あの画面のリフレッシュっていうんです?デロデロデロ-ってなる状態は見ていてやっぱり美しくない。もうちょいああいった現象が抑えられればいいのにと思うけど、あんま改善していないので、あれがなくなることが大前提かなと。

あと、多様なサイズがほしいですわなぁ。4型、5型、10型くらいまではあってもいいかなと。っていうのは持ち運ぶのが中心の人には、閉じた状態の文庫と同レベルのサイズがいるんじゃないかなと。あとは家でのんびり読む用に雑誌サイズのクラスもいるよなぁ?とか。あ、当然カラー対応も必須かなと。

こう考えていくと、正直E-inkじゃなくてもいいかも。タブレットとかスマホでもいいんじゃね?またはスマホやタブレットをベースに電子書籍に特化した専用タブレットを低価格で用意するとか。はっ!それなんてKindle Fire?

あれみたいに何でもできるわけではなく、見た目すごいけど、実は単なる電子書籍専用みたいなのとかあればいいのかなと。E-inkの進化を待つよりこっちの方が現実的かも。

・データ通信費無料

ブラウザとか載せるからややこしいことになるんであって、ブラウザはなしで。書籍のダウンロードくらいは無料にしないと厳しいかと。

・端末無料化、低価格化

例えば実質無料でもいいかなと。専タブ(単体額30,000円)を購入すると、25,000円分のストアクーポンが付いてくるとか。型落ちモデルはクーポンないけどやっぱり店頭では無料とか100円とか。

・普通の書籍を購入すると電子書籍用のダウンロード権が得られる

これは賛否両論で、特に日本の古本市場の事情を考えると、やらない方がいいかも?でも反面、自炊へのケアが一切ないのも気になる所でもあるので、法整備してでもやった方がいい気がするなぁ。そうなると神田古書店街とか壊滅する恐れありますが。

 

ココらへんまで進んでくると、いよいよ電子書籍onlyな雑誌とかコミックが出てきたりしてきて、そうなればしばらく未来は明るいかなと。

もちろんガラケーの末路(まぁ数年後に復興するんだけどね!)とか見てると、普及しきってからが不安ではあるけど、正直今はそんなこと考えてる状況じゃないと思うんだよね(笑)

 

以上、全体構成とか一切考えずに、電子書籍についてあれこれ思いついたことを、文字通り書き殴ってみた。ま、そのうちまとめる気になったら何か考える時があるかも。